メダリスト10巻を読んで、真っ先に思ったのは「岡崎いるかちゃん、最高!」だった。
いのりに対して、誰よりも複雑な感情を抱えながら、それでも自分のスケートと向き合い続けるいるかちゃん。この巻は彼女の”染み入る”という感情が形を変えながら溢れ出す、どうしようもなく愛おしい一冊だった。
この記事でわかること
- メダリスト10巻のあらすじ(※ネタバレあり)
- 岡崎いるかの魅力と感情の深さ
- 10巻を読んで特に刺さったシーンの感想
基本情報
| タイトル | メダリスト(10)(アフタヌーンKC) |
| 著者 | つるまいかだ |
| 出版社 | 講談社 |
| 発売日 | 2024年3月22日 |
| ページ数 | 192ページ |
| Amazon評価 | ★4.9(3,855件) |
あらすじ(ネタバレなし)
全日本ノービス大会で表彰台に手が届かなかったいのりと司。4回転サルコウを含む高難度の構成で最高のステップを踏んでも、表彰台に届かなかった現実。しかしいのりの圧倒的な成長速度と滑走の勢いは審判の目に留まり、ジュニアクラスへの昇格と強化選手への選出という形で報われる。
そして10巻では、そんないのりをずっと追い続けてきた岡崎いるかの物語が大きく動き出す。ライバルとして、先輩として、そしていのりのことを誰よりも深く「わかってしまう」存在として——いるかの内面が丁寧に掘り下げられる巻だ。
感想・書評
いのりの可愛さに「染み入る」いるかが愛しすぎる
いるかがいのりの可愛さについて「染み入る」という表現を使う場面がある。これが本当に、この漫画の言語感覚の豊かさを象徴していると思う。
単純に「可愛い」と言うのではなく、「染み入る」という言葉を選ぶいるか。それはいのりの存在が、じわじわと自分の中に浸透してくる感覚——意識しないようにしていても、気づいたら奥まで入り込んでいる、そういう種類の感情だ。好きとも愛しいとも違う、もっと困った感情。いるかの複雑な心境が、たった2文字の言葉にぎゅっと詰まっている。
トキメキのあまり展開してしまう存在しない記憶たち
実際には起きていない「いのりとの記憶」を頭の中で展開してしまうシーンには、思わず声を出して笑いながら、でもじんわり泣けてしまった。

「ありえない日常」をいるかちゃんは積み上げてしまう。これはペットなのか妹なのかよくわからないけど、「好き」という気持ちがあふれ出ていることが面白い。さっきまで、「意味わかんない バイバーイ」って言っていたのに(笑)
「金メダルを取るまでは話さない」という誓いと、その先の和解
オリンピックで金メダルを取るまではいのりのお姉ちゃんとは話さない——そう宣言するいるかのシーンは、この巻の中でも特に印象的だった。

それだけの覚悟と、それだけの傷がそこにはある。自分を奮い立たせるための誓いとして言葉を使ういるかちゃんの強さ。本当に金メダルを取ってほしい。いのりとひかるの咬ませ犬にならないでほしい。でも主人公じゃないし、ライバル枠じゃないから、無理かなぁ。
こんな人におすすめ
- サブキャラクターの心理描写が好きな人
- ライバルキャラに感情移入しがちな人
- フィギュアスケートの競技描写と人間ドラマを両方楽しみたい人
- 「好き」という感情をこじらせている人間が好きな人
- 1〜9巻を読んで岡崎いるかが気になっていた人
まとめ
メダリスト10巻は、いのりと司の物語であると同時に、岡崎いるかという人間の解像度が一気に上がる巻だった。「染み入る」という言葉ひとつ、ありもしない記憶を勝手に展開する姿、そして誓いと和解——どれも、いるかがいかに本気でスケートに、そしていのりに向き合っているかを示している。
読み終えた後、いるかのことが心配でしょうがなくなる。それがこの巻の一番の罪だと思う。続きが読みたくて仕方がない。


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